著作権上の注意点-オンライン学習に際して

■2020/4/28更新
オンライン授業など、授業目的での著作物の公衆送信権の新しい運用について説明を追記しました。

先に限界を述べますが、筆者は著作権の専門家ではありませんし、判例が出ているわけではないため、専門家でも見解が分かれる部分があると推定します。ご理解ください。

著作権があります

原則として、すべての創作物には著作権が発生しています。この著作権は著作権法によって保護されています。
他者の著作物を二次的に利用したい場合-例えば授業で使う場合やYouTubeで配信するなどしたい場合-には、権利を持っている人から許可を得る必要があります。
いくつかの条件を満たしている場合には、例外的にその権利が制限され、許可がなくても使えるようになります。
詳しくは文化庁のホームページを見てください。

オンライン学習の際に

上で述べた著作権の権利制限規定の中には、学校教育に関する規定があり、教科書に掲載する場合(33条)や授業の過程で使用される場合には、必要と認められる範囲で、権利が制限され許諾なく利用することが可能になります。

ただし、 インターネット上で配信すること(公衆送信)について、 学校等の授業や予習・復習用に、教師が他人 の著作物を用いて作成した教材をネットワークを通じて生徒の端末に送信する行為等について個別に権利者に許諾を取り、ライセンス料を支払う必要がありました。この部分の運用が2020年4月28日以降変わります。次の2つの節で詳しく説明します。
これまでの経緯について、詳しくは法改正時の説明資料を見るのが分かりやすいです。

文化庁と関係団体の動き

今回の学校閉鎖を受けて、文化庁も動いており、
新型コロナウィルス感染症対策に伴う学校教育におけるICTを活用した著作物の円滑な利用について」と関係する各権利者団体などに「格別の配慮」を求めています。
これに対して、一部の団体は「可能なかぎり協力させていただく」などの声明を出しています。例えば 一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)を構成する著作権等管理事業者及び関係団体 です。
「可能なかぎり協力」であり、一律の権利制限規定ではありませんでした。
(公衆送信を行いやすいように法律の改正自体はすでになされており、前倒しで施行(実際にルールとして運用されること)されることになりました)。
■4/6追記■
4/1より本件のパブリックコメントが募集されています。「令和2年4月中に施行する予定」とのことです。 一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS) は4/6に、本年度に限り補償金を無償とする方針を示しました。
オンラインでの学習に著作物を利用しやすい方向に少しずつ進んでいます。

■4/28追記■
上記の動きを受けて、
オンライン授業等で公衆送信を利用したい 教育機関の設置者(教育委員会、学校法人など) は一括で管理する窓口となる 一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS) に届け出ることで、個別に許諾を取ることなる著作物を利用できるようになります。
届け出やよくある質問についてはリンク先をご覧ください。
※あくまで補償のために届出が必要であり、特例として今年度は補償額が0円であるという理解を管理人はしています。


なお、38条の非営利規定には、公衆送信についての権利制限規定が定められていないので、根拠にできません。

こちらの文章は配信をおこなおうとした当事者が直面して、個人として調べたものです。間違いがありましたら、ご指摘ください。

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